自分の教科書である全音楽譜出版社の市田儀一郎編「J.S.バッハ インヴェンションとシンフォニア」には,トリルについての解説が掲載されている.この中でトリルの定義として
- 原則として上隣接音から開始
- 最低4つの音符が必要
- 書かれたその音符で停止
例えば第1小節に存在するトリルについて,グールドは,上記の定義通りに弾いている.しかし他の例では,モルデント(3つの音符)で弾いていたり,プラルトリラー (実質3つの音符)で弾いていたりするのだ.しかも本をよく読んでみると,トリルについても,最初の3つの音符を64分音符で弾く(高速トリル)ものと,32分音符の3連符で弾く(中速トリル?)ものの2つが紹介されていた.実際,YouTubeのお手本をいくつか聞いてみると,このトリルの弾き方は個人によってまちまちだった.
自分は今までここのトリルを,モルデントで弾いていた.それはYouTubeのお手本もそうだったし,運指も自然で,音符も少なく,要するに楽だったからだ.しかし本日譜面を見て,グールドの演奏を聴き,やはり4つ音符で高速トリルすることにした.
いざ練習を始めて見ると,この4つの音符をちゃんと奏でるのは難しい事がわかった.高速トリルの場合,音の強弱がバラバラになりやすく,また下手をすると音が出ない場合すらあった.おまけにリズムが取りにくくなり,左手も合わなくなってしまったので,初心に戻って,第1小節から第2小節のトリル部分を,集中的に繰り返し練習した.
リズムが合わなくなったので,メトロノームを使って,リズムに乗ってトリルができるように練習もした.また両手が同時に押す事になるタイミングを,把握しなおして,そこはぴったりと合うように練習した.
今までの手の動きを覚えてしまっているため,なかなか手が言うことを聞かなかった.そのために時間がかかってしまったというわけだ.繰り返し練習は,手に負担がかかり,それなりに痛くなってしまったが,腱鞘炎と言うほどではない.
トリルにはその個人の個性・リズム感・実力が現れるような気がする.だからトリル練習は需要だし,また繰り返し練習する価値があると思う.
今回の発見で,再び第1番を新鮮に感じることができたのは,不幸中の幸いとでも言うべきか.
一応第2番から第4番までのいつもの練習も,第1番の練習の合間に行った.そちらの方は,昨日より少し多く覚えることができたという程度の進歩具合だった.
ということで,お疲れ様でした.
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