椎名林檎「熱愛発覚中」PVより |
今,自分がアレンジャーとして注目している中田ヤスタカが,椎名林檎の曲をどのようにアレンジするかが大変気になった.彼は,単純なテクノポップアレンジャーではない.当初は彼を「ポスト小室哲哉」と見なす人もいたが,最近では「ポスト坂本龍一」との声さえ聞こえてくる.
椎名林檎と言えば,2013年に解散した「東京事変」における亀田誠治アレンジが(ややベーシストよりな気はするが)非常に高い完成度を誇っている.果たして中田ヤスタカは亀田越えを狙うのか?それとも今までの編曲フォーマットをそのまま用いて戦いを避け,無難にやり過ごすのか?
ちなみに亀田誠治は2007年に平井堅の「哀歌 (エレジー) 」等で,中田ヤスタカは2012年に(自分には衝撃的な編曲だった)Perfume「スパイス」等で,日本レコード大賞編曲賞を共に受賞している.
ということで,熱愛発覚中のPVを視聴した.そして驚愕した.中田ヤスタカは本気だった.イントロは映画音楽風でティンパニを使ったり,お得意のワブルベースがうなったりして,予想範囲内に留まっていたため,まあまあかなと思っていた.ところがサビに入るや一転,怒濤の展開となる.神経を逆撫でするようなシンセ音のharmonyなのだが,それに美しさや緻密さを感じて,酔わされてしまうのだ.どんな音がどのようになっているのか,何度でも聞いてしまう.中田ヤスタカお得意の中毒性のある曲だ.
とにかく「百聞は一聴にしかず」であるので,YouTube の熱愛発覚中のPVを「聴いて」判断して欲しい.ただし視聴の注意点がいくつか.
- 林檎(既に二児の母)の露出度が高いので,ビジュアルが気になって音に集中しにくい(特に男性男性).
- アクションのSEのために,音が取りにくい.
もしかしたら,サビの部分も意外に単純なコードや音を使っているのかもしれない.シンセ音のグラデーションのようなharmonyに幻惑されて,音を脳内補完しているのかもしれない.これは「熱愛発覚中」が収録されているアルバム「浮き名 (11/13発売)」を待つこととしよう.
しかし中田ヤスタカは恐るべき音楽家だ.誰も思いつかないようなアレンジのアイディアをどこから仕入れてくるのか?いったいどこで編曲の勉強をしていたのか?それとも感性だけでアレンジしているのか?そんなことが可能だろうか?しかも実力は徐々に上がっているように思えるのもすごい.侮れない…
最後にこのニューアルバムには「浮き名」には,あの御大 Burt Bacharach(85才)から提供された「IT WAS YOU」も含まれる.こちらのPVも視聴したが自分的にはあまりBacharach色は感じなかった.
追伸:
もしかしたら中田ヤスタカのアレンジは,コード進行を決めた後,キーボードで自由に何度も即興演奏をして,その中の気に入ったフレーズをいくつかチョイスし,それを多声化してアレンジしているのか?そこはかとなく闊達な即行演奏的なニューアンスがあるのはそのためか?メロディ博士?
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